昨年末、政府はマイナ保険証への一本化を閣議決定した。

 しかし、現行の健康保険証は今年12月1日まで使えるし、その後も、送られてくる資格確認書で今までどおり病院を受診できる。マイナ保険証の利用登録をしていなくても、マイナンバーカード自体を持っていなくても、心配はいらない。

 そもそもマイナ保険証は、マイナンバーカードによっていくつもの個人情報と結び付けられていて、情報漏洩の危険があり、第三者に悪用される危険もあるため、強く批判されてきた。

 のみならず、マイナ保険証は現行の保険証と異なり、自分で取得し、利用の登録をし、その後も自分で管理しなければならないため、こうしたことが難しい高齢者や障がい者の個人情報が守らることが難しい。

 また、マイナンバー法16条の2は、マイナンバーカードの取得はあくまでの本人の申請によるとする任意取得の原則を定めているが、マイナ保険証への一本化は、任意取得の原則を損なうおそれもあり、各地の弁護士会も次々と反対意見を表明してきている。

 社会的弱者の個人情報保護を置き去りにしかねないマイナ保険証への一本化は、やはり撤回されるべきではないか。

弁護士 高木吉朗