私が沖縄への移住を決め、大阪弁護士会から沖縄弁護士会に登録替えしたのは、2014年の1月だった。それからまる10年が経過したことになるが、この間本当にあっという間だった。
沖縄へ移住する以前から、基地訴訟を通じて沖縄にはしばしば出張で来ることはあったが、特に地縁も血縁もない地で、家族を残して単身で暮らすことにまったく不安がなかったと言えばうそになる(まあ何とかなるさ、とは思っていたが)。
しかし、事務所の仲間をはじめ多くの方々に温かく迎えていただき、おかげでどうにか無事に満10年を迎えることができた。改めて、感謝の念を記しておきたい。
移籍して間もないころは、法廷で相対する相手方側の代理人弁護士がほぼすべて顔見知りというのがなかなか新鮮だったし(大阪ではほとんどの事件で相手方代理人とは初対面だった)、近くのスーパーや食堂で依頼者と偶然出会うことがよくあるのには驚いたものである(大阪ではあり得ないことだ)。
しかし、沖縄での生活が10年にもなると、たまに本土で電車に乗るときに少し緊張するようになった。慣れとは不思議なものだが、初心を忘れないようにしたいものである。
弁護士 高木吉朗