米軍人等による公務外の事件・事故により被害を受けた場合、米国政府から慰謝料の支払いを受けることが出来ます。ただ、その額が加害者本人を被告とする確定判決による額に満たない場合(筆者の知る限りでは、通常、満たない)、日本政府がその差額を埋めるために支給する見舞金をSACO見舞金と言います。その法的性質について昨年12月16日に最高裁判決が出ました。

 結論としては、国と被害者との合意により支給される金銭であるとされました。問題は、確定判決で認められた遅延損害金を諦めなければ国が合意してくれないという制度になっていることです。但し、三浦守裁判長は、「遅延損害金を対象としないものとしたことは、SACO最終報告及び平成8年閣議決定の趣旨に反し、被害者等の正当な権利の実現を損なう不合理なものというべき」、また、「米軍基地が集中し現在もなお重大な犯罪行為が繰り返されている沖縄県の住民の負担を真に軽減することは、国政の重要な課題である。被害者等が遅滞なく十分に救済されることが肝要であり、制度の基本的な在り方が問われる。」との意見を付しました。今後、国が遅延損害金を含めて合意するよう見直しがなされることを期待します。

弁護士日高洋一郎