民法が定める成年年齢が一八歳に引き下げられることになった。二〇二二年四月一日から施行される。民法上の成年年齢の意味は、その年齢に達するまでは、もし軽率に何か大きな買い物をしてしまったとしても、法定代理人(多くの場合は親)が後から取り消せる、という点にある。

この成年年齢の引き下げについて、日弁連が特に懸念しているのは、一八~二〇歳の若者の消費者被害が増えるのではないか、という点である。たしかに一八歳といえば、まだ高校在学中であることが多いだろう。これからは、若者の消費者教育もますます重要になる。

本来、社会生活を営むのに必要な知識の習得に要する時間、つまり「大人」になるための時間は、社会が成熟するほど長くなるものだ。大学進学率が五〇%を超えるに至っているのもその故である。

 にもかかわらず成年年齢を引き下げるということは、民法上の成年年齢と、社会的な意味での「大人」とが乖離していくことを意味する。この乖離が消費者被害として現実化しないかが懸念されているのである。

 この乖離を埋めるべく、社会全体で若者世代をフォローアップしていく仕組みを作ることが、深刻な被害を生まないためには必要だろう。